2013年5月10日金曜日

忘却とホルモン分泌

5月9日、2週間振りの初心者講座である。
第1水曜日を休講にして、5月の1週目を連休にしたためである。
「先々週はモグラ叩きの練習をして、マウスの扱い方に慣れましたか?」
「忘れましたー」、大きい声での合唱となって返ってくる。
「そうですよね、忘れて当然です。教える側もそうした方達と学習するのが目的ですからね」
≪負け惜しみが若干含んでいる≫

何時の頃であったか、市長の車に同乗する事が有った。
本来、随行は運転席の隣に位置する事になっているのだが、その時は後の座席に乗っての道中だから、気詰りも甚だしい。
「歳をとると物忘れがひどくなるのは何故だと思う?」と、唐突に聞かれた。
「・・・脳が老化するためじゃないですか?」
「だから、何で老化するかなんだ」
「栄養不足になるとか、でしょうか?」
「人間はね、歳を取ってくると物事を忘れさせるホルモンが出て、死ぬことを忘れさせるようにするらしいんだ」
「ホルモンですか?」
「歳を取れば段々死期が近づいてくるわけで、それが頭から離れなくなってしまえば生きては行けなくなってしまうと、言われているらしぃ」
「何ホルモンでしょうかね」死など考えてもいない歳だから、頓珍漢な受け答えをしている。
「死刑囚は朝が一番怖いらしい。看守の足音に全神経を尖らせ、遠ざかるとホッとして一日生き延びられたと、安堵の胸を撫で下ろすと言われている」
「・・・」
「此れが、普通の人間で歳を取ってくれば、明日死ぬか、今日無事に過ごせるか、などと怯えていたら気が狂ってしまうと言われている」
「・・・」聴くだけである。
市長も、誰かの請け売りを聴かせているらしい。
「だから、気が狂わない様に自然と歳を取れば物忘れをさせるホルモンが出て、死の恐怖から免れさせるように出来ていると言う事らしい」
何故かこの時の話が、気詰り感と共に思い出される。

そうすると、この初心者講座の受講者は物忘れホルモンの分泌が旺盛で、聴いた事は右から左に頭に残らない様になっていると言う事か?
それとも我々のカリキュラムの組み立てが悪いためか?
などと考えが過る。
「テキストのパソコンを知ろうを開いてください」「パソコンは、・・・・・」
其々の部位の名称と機能の解説をしながら進めて行く。
「〇〇さん、USBメモリの入れ方が逆ですよ~」
先程からUSBのキャップも外さずに、後ろ向きでUSBジャックに必死になって押し込もうとする人が居る。

来週はどうなっている事やら、誰も予想が付かない。明日の事さえ分からないのだから。

3 件のコメント:

  1. パソコン初心者講座、近藤先生の大変さがよく分かります。自分も初心者講座で、先生方にご迷惑をおかけしていたことを反省しております。今も大村先生と板垣先生に新栄町の会議所でお世話になっていますが、先生方のストレスにならないように、しっかりと勉強していきたいと思っています。

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  2. ひろしさん
    大いに世話を焼かせてください。
    我々も、それで生き甲斐を感じるのですから。
    お互い様です、の精神で行きましょう。

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  3. 何年か前、埃を被っていたPCを前に一大決心をして習い始めたことを思い出しました。沢山迷惑をかけ悩んだ日々を過ごし、先生方のおかげで、少しずつですが、楽しさが解かってきた様な気がしています。もう少し頑張ってみようと思って居る処です、宜しくお願いします。

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