2012年1月7日土曜日

バーコード今昔物語

amazonでインターネットショッピングをした。
既に此れまで経験して居るから、取りたててもの珍しい事は無いが、今回は代引き方式を取らずコンビニでの前払い方式をして見た。
パソコンから払い込み明細書を出力してコンビニに持参、レジで現金を払い込むのだがその簡単さに感心した。
払い込み明細書と現金をレジに差し出すと、若い女性店員がバーコードリーダをバーコード縞模様に当て、レジスタに金額を打ち込んでレシートを出して終了する。
1時間後にはamazonから入金のメールが届いている。
2.3日中に現品発送との事、その迅速性に今更ながら考えさせられた。
インターネットの普及が欠かせない要件であろう事は違いないが、その上で重要な要件は、バーコードの縞模様ではないだろうか。
あの縞模様に入金条件や金額が圧縮されているのである。
昨日や今日のアルバイト店員でも、データの入力を間違いなく出来る様に考えられている。

このバーコードを行政に取り組んだ事が思い出された。
昭和53年頃であったか。
今を遡る事34年前、当時アメリカの物流システムでは一般的に採用されており、日本ではヤマト便が試験的に使っていた程度である。
ヤマト便の伝票にバーコードが印刷されていたが、問題は伝票の紙質であったらしい。
薄紙の裏カーボンで2枚目、3枚目を印字するにはドット式印刷機で無いと無理の上に、大量の伝票を高速で読み取るリーダーマシンが開発されていなかった。
日本のスーパーマーケットでは、店員がレジスターに一品一品入力していた時代である。
まだインターネット回線も普及しておらず、日本の物流社会の特性で値引きが盛んであるから、日々価格が変わる事があり、それをバーコードに反映するのが出来ない事も普及しない原因であった。

そんな状況の中で、伊勢崎市の税務行政で採用して見ようかと話が持ち上がり、年度・期別や税目・金額をバーコードに表示させ、そのデータを集計した後消し込みを機械的にさせる事になった。
反対意見は有った。
バーコードの信憑性は勿論、納付書のスタイルが全く変わる事、それを印刷できる業者が伊勢崎には居なかった事等の他に、これまで手で仕分けをして、算盤で集計をしたものを徴収簿に1件1件消し込みをし、その帳簿を見返しながら未納者に督促状を作成するという手順が180度変わってしまう事への危惧が優先した。
しかし、押し違いや漏れが発生した事し、毎月の様に消し込み済み伝票の再確認がされていた。
行政の縦割りも障壁となった。
税務課はOKでも消し込みは会計課であり、この課は算盤の達者な職員が配置されており頭から相談にならない状況である。
妥協の産物として納付書に印字出来るかをテスト的に採用し、段階的にデータ作成、コンピューターでの消し込み、督促状の作成と実施する事になったが、志半ばで水道局へ異動となり この計画は頓挫してしまい、何年かの後にOCR方式が採用され今日に至っている。

しかし、異動先の水道局で、この方式を水道料金システムに導入する事になった。
従来、ここも会計システムは市長部局と同じで、それ以上にチンタラチンタラと非効率な仕事をしていた。
幸い担当した業務が営業であり、加入の申し込みから検針・納付書の作成・入金から消し込み・督促状の作成・滞納整理まで一貫して担当出来たのも実現できる下地となった。
部内的には難色を示す職員も居たが、当時、業務現場にコンピュータ端末を配置し、水道加入者の加入状況から利用状況までをデータべース化して、一目瞭然に見られるなど想像も出来ない時代であった。
検針番号や名前で検索すれば、たちどころに必要な情報が画面に表示されたから驚きであったに違いない。
簡単に言えばこうであるが、当時の端末は今のパソコンの性能以下も以下、画面も小さく、動作も遅い、ブルー画面で長時間使用は目に悪いと言われていた。
これが2年、3年と進化し、全国の水道業務では初めてと言われたオンライン業務の走りとなったのである。
全てバーコードが中心で、算盤集計、、手書き記載などが減少し、業務も正確になったと、今もって自負している。
さらに、検針では検針データを現場で入力すれば、ハンドリーダーに利用者の当月分のデータが組み込まれ、差し引け使用量と料金、前回引き落とした料金の明細を伝票にプリントしてその場で交付するという方式を採用し、検針員の作業量を減らしながら、ハンドリーダをコンピュータに接続させれば入力終了となりパンチ業務が無くなったのである。
今では東京電力やガス会社などでも利用しているが、当時の伊勢崎水道局が先鞭を切って採用したものである。

先日、後期高齢者医療保険料を労金に納入してきたが、待合番号札を取り、2・30分待たされて呼び出され、納付書と現金を添えて出すと伝票を書いて貰いたいと言われ、記載台に戻り住所氏名金額を伝票に書き、それを添えて入金手続きとなる。
その時は忙しい身では無いと思いながら、待たされる苦痛はそれ程でも無かったのだが、コンビニでの対応を経験して見るとその違いに驚く。
役所の窓口なら納付通知書兼領収書と納付書にパンパンと領収済印を押し、納付通知書兼領収書を手渡されて終りとなる。
役所の場合、それからが大変で、終業時間間際になると税目別に仕分けをし、納入集計表にいちいち記載をして集計をし、金額と合わせて会計課に持参するのだ。
この辺は旧態依然とした手続きが踏襲されてる。

失敗を恐れずに挑戦する事が業務改善で有り、旧態依然とした事務手続きが目障りでガラガラ替えてしまう事はしばしばであったが、反面大いなる失敗もあるパソ爺であるから功罪半ばであろうか。
むしろ市に迷惑を掛けた罪の方が大きかったかも知れない。
全て時間の経過とともに忘れられて行くのか。
何れ彼の世とやらで閻魔の裁きに会う事であろうと、覚悟をしている今日この頃である。
自戒、自戒。