2011年12月4日日曜日

ピン芸人「ぴろき」と「きみまろ」について

再びお笑いの話題である。

「ぴろき」という漫談家を知っているだろうか。
自虐的、哀愁漫談として最近ラジオやテレビでお目に掛かる事が多くなった芸人である。
自身の身の回りに起きた不運を話題にして、ウクレレの様な楽器を奏でながら飄々とした語り口は、今時の喧噪的とも言える漫才より好感が持てる。
今から10年前になるであろうか、仲間と房総旅行の帰途に、時間が早いので浅草でお笑いを見て行く事になった。
浅草演芸場は色とりどりの芸人が出演して居るが、入場料が結構高いので隣の東洋館に入る事にした。
ここは売れていない漫才師や漫談家の腕試し的場所である。
その時に初めて「ぴろき」の漫談を聞いのだが、嫌みのない、それでいて人生の悲哀を話題にした噺を笑わせながら聴かせてくれた事を覚えている。
それが或る時、「笑点」に出演したのである。
この番組に出る事は、芸人のステータスが揚がると言われている。
その後、NHKの数少ないお笑い番組にも出演し、全国区的芸人になった。
そこに至るまでの人生は大変なものであったに違いない。
落語芸術協会に所属し、林家菊久翁師の門下に入っているとのことである。
方や「きみまろ」は、苦節30年、演歌歌手の司会を中心にキャバレーなどで営業していたが芽が出ず、中高年者の生態を面白可笑しく、揶揄的な噺を吹き込んだカセットテープを、背水の陣的思いでドライブインなどで観光バスに無料配布したのが、ブレークの元であると言われている。
いわゆる面と向かっては言えない高齢者の粗探しをして噺に組み立て、大衆相手に投げかける事で共感を与え、思わず我が身を振り返えらせて笑わせてしまう。
ある意味で毒舌漫談であるが、毒まむし三太夫や立川談志師とは違うペーソスが感じられる語り口が受けた。
しかしこの漫談を忌み嫌う高齢者もいる。
自分自身が笑いのネタにされていると、捉えている人は笑う事が出来ないのであろう。小生の知人にも、「どうしてあんな話を聞いて、笑って居られるのだろう。」と憤慨していた。
「ぴろき」は、実家の親に欲しいものは無いかと電話したら、「まともな倅が欲しい」と言われたと話し、お金が必要となったので2万円引き出そうと現金支払い機に入力したら、万を押さなかったため、2円が出てきて105円の手数料を取られ、更に2万円と再度入力したら残高不足と表示されてしまった。
ウクレレ漫談の牧信二なら「ああ嫌になっちゃた、ああ驚いた。」と、落とすが、彼は明るく陽気にいきましょう。いひぃひぃひぃ。」...と誤魔化し笑いをして次の話題に進む。

「きみまろ」の場合は、「そこで笑っている奥様、綺麗だったんですよ、面影無いですけど」と、漠然と会場に振り「あれから40年・・」と来る。
また、「足はガクガク、目はショボショボ、おしっこチョロチョロ」と高齢者が直面する生理的現象を話題にし、腰を屈めて舞台を歩きまわる仕草で笑わせる。
高齢者問題を、高齢者に聴かせ笑わせているのが特徴であるが、疲れた時などに聴いて見たい漫談ではない。
我が身を振り返り、身に詰まされる思いがする。
そこに、「ぴろき」との違いがある様な気がする。

一度Youtubで検索して聴いて見ては如何でしょうか。


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