2014年4月15日火曜日

駕籠に乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人

ITに関わっている人で「Amazon」を知らない人はいないだろう。
世界最大のインターネット通販会社である。
安価で即時性があり、ありとあらゆる物が取り揃えられて居る上に、送料無料と来ている。
こんな物流革命を起こした企業に、注目が集まっても不思議ではない。
その結果がマスコミやレポートで発表されている。

第一に指摘されたのは、配送センターで働く人たちの劣悪な労働環境である。
拠点であるアメリカでの潜入レポがインターネット上で発表された。
10時間労働で、時給1,000円、空調設備の無い環境下、500点からの品目をタブレット端末の指示で集め回らなければならないという。
探し出し集める時間も指定され、秒分の単位とのこと。

だから広大な商品倉庫内を走り回って品物を集めなければならないという。
休む暇もなく、食事時間は「29分59秒」と決められており、トイレ時間も持ち場復帰時間もこの中で終わらなければならないという。
兎に角、トレーニング初日に徹底的に教え込まれるのは「時間厳守」で、時間オーバーは時間によって0.5ポイント刻みの反則点が加算され、6ポイントで解雇されるという。
空調がない環境にもかかわらず、寒い時期でもTシャツになるほどで、夏場の環境はそれ以上になるから倒れる従業員に対応するために救急車を待機させているとの事。

日本でも、配送を請け負っていた佐川急便があまりの時間制約が厳しく撤退し、今ではヤマト便一社となっているとか。
時間通りに配送する事は、道路状況や天候などで影響出るのも仕方のない事態である。
佐川急便は運送業界でも労働環境が劣悪で有名であるが、その会社が音を上げるほどらしい。

そんな裏事情も知らず、安い、速い、選り取り見取りの選別が出来る、配送料が要らない、などに目を奪われ利用して来た事が反省される。
顧客中心主義と言うと体裁はいいが、他者犠牲の上に成り立ってのサービスで有り、そこでもいいから働きたいという人達が列をなして待っていることも問題である。
貧困社会の連鎖と言われて久しいが、貧困が貧困を生み、抜け出せない人達がアメリカ人の3分の1に及ぶという。

日本でもリーマンショックで解雇され、路上生活者となって食べ物を漁る人達がTVで生々しく映し出された。
それでも働く場所を求め、下請けの又下請けのピンハネされ放題でも職を求め、ねぐらを確保したい人達がカラオケボックスやインターネットカフェで寝泊まりしている現実がある。
そこに成り立つサービス産業や企業であってはならないと思う。
豊かさと利便ばかりに目を奪われていると、この階級社会が増幅の一途を辿ることになるという事を肝に銘じたい。

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