2012年8月9日木曜日

マグレ人生 その1

「まぐれ」を辞書で調べると、「偶然とか予期しない結果」と出ている。

小学高学年の頃、村内と言うより地域単位の集落でお祭りがあった。
子供相撲大会が有り、2,30人程集まって開催されたが、昭和20年代は今と違い子供がうようよいた時代である。
学年別の取り組みで無く、身長順に並べさせられて組み合わせを決めて行くのだ。
体格の良い上級生の隣に並ばされた為、必然的にその子との対戦になった。
今から思えば、吾輩を勝たせない為に大人達の偏見と依怙贔屓でそうさせた様な気がしてなら無いのだが、取り組みの番となってしまった。
自信満々の相手に対し、身長は有ったが肉付きの悪い、有り体に言えばひ弱な力士である。
軍配が返って、猛然と突進してくる相手に対しヒョイと変わり、横から押し出してしまった。
番狂わせで、組み合わせをした例の大人も唖然として居た事を思い出す。
しかし、その後は悲惨で何事にも件の上級生に意地をされ、卒業するまで続いていた。
今時のいじめで有ったろうか、とんだハプニングが人生の実力を知らされる事になったのである。

高校入試の時もそんな事があった。
前夜来の大雨で、利根川の対岸に位置している島村中学からの受験生が欠席と言う事になってしまった。
前の席が殆ど空いていると言う、異常な空気での試験で有った。
そんな中でも試験が始められたが、自信を持って解答出来た問題は極少なく、何がなんだかわからない状態で終了した。
合格発表の日が来て新聞に名前を見つけた時は正直嬉しかったが、其処で飛んだ誤解を生む事になった。
島村中学からの受験生が欠席した為、発表が吾輩の名前からとなってしまった。
それを見た近所の年寄り達が一番で合格したと受け止め、学校の登下校で行き会うたびに称賛の言葉を掛けられる事となってしまった。
この為、出歩くのが嫌になってしまい、人目を避ける様に暫くはこそこそ歩く始末であった。
それも時間と共に解決し、それ程でもない事を世間に知らしめる事になった。

入学して最初の国語の時間で抜き打ちテストが行われた。
何でも担当教師は入学試験の結果は信用していないらしく、自分で問題を作成して新入生の学力レベルを知るために行っているとの事であった。
確かに学校では教えない、入試問題にも出無い設問であったが、入試勉強より文庫本を読んで居た吾輩としては比較的楽勝であった。
トップ10に入ってしまったのである。
一躍注目される存在となったが、その後の中間試験、期末試験などで順位が発表されるに従い馬脚が現われてしまい、同級生から「あれはマグレだったんだ。」と、からかわれの対象となってしまった。
トップ10になった時に、それを起爆にして勉学に勤しめば良かったものをと、後悔先に立たずの例えに気付くのが遅すぎた様である。


0 件のコメント:

コメントを投稿