2011年10月4日火曜日

食器洗い乾燥機始末記

9月の初め頃か、食洗機が突然排水だけの処理をしだす様になってしまった。
日頃からこの機械の不調を訴えていた妻は、「もうだめね。」と、いとも簡単に宣言する。
8・9年前に購入したものであるが、こんな機械は単純構造なのだから、そう簡単に壊れはしないと思うのだが。
「最初から水漏れはあったし、見て貰っても直らなかったじゃないの。」
取扱説明書を探し、【こんな場合の対処】を見つける。
同じ症状があった。
専用洗剤を台所用洗剤と間違えて入れた場合は、全てのランプが点滅し、排水を繰り返すので庫内を洗浄してやり返るとある。
「洗剤は何時ものだから間違って居ないわよ。」と、さもさもそんなにボケてはいないとの口振りで、「コジマ電機に行って見ようよ。」、あくまでも買い替えを主張。
その他の原因としては、手順を間違えたのかとマニュアル通りにスタートさせようと停止ボタンを押したが止まらない。
排水を繰り返しているだけである。
「水が勿体ないじゃない。」
止む無く電源を引き抜いて強制終了させる。
このやり方はパソコンと同じ操作で、機械を更に傷めるので余り進められる方法ではない。
4・5分置いてマニュアル通りにスタートさせて見る。
動くではないか。
「これまでは、電源ON、スタートで動いていたんだから、いちいちコース選択、乾燥時間の設定などしないでも記憶して動いていたのよ。」
記憶基盤が劣化したのか。人間で言うボケが始まったのか。

その日はそれで終了したが、翌日再びトラブル発生。
「同じようにしたわよ。」
コースを変えてやったらどうかと提案。
「そんな面倒な事はやってられません。」
「第一、電源を引き抜いたり差し込んだり、コース選択をしたり、やる身になってよ。」
そんな事を言いながら、騙し騙しして半月ほど使っていた。
そしてとうとう「もう限界。」と、最終宣告。
手洗いした食器を、乾燥だけにして使用していたのだ。

コジマに出掛けて品定めをする。
同じメーカーの同じ系列の食洗機があった。
5万3千円。
そばに居た男の店員に、幾ら割り引くか聞いてみた。
現品割引値段との事。
つまり売れ残ったたな晒し製品を、処分価格にしてあると言うのだ。
散々いじりまわしたたな晒しだから、4万5千円だら買うよ、と交渉するが結構ガードが堅く、5万円で引き取り賃を含めて5万3千円までになった。元価格である。
妻は「これでいいんじゃない。」、すでに買う気になっている。
いやいや他店も見てからにしようと言う事にして、その日は引き上げる。

それから数日後、ケーズ電機に用事があり、買い物を済ませて店内を見て回った。
食洗機が並べてある。コジマと同じ製品である。
価格は同じぐらいである。
傍を通り掛かった店員に尋ねたら、担当者を呼んでくれた。
間もなく女子店員がやって来た。小柄で色白な可愛い子である。
「いらしゃいませ、食洗機でしょうか。」
これは処分価格なのかと聞いたところ、まだ新品があるとの事。
たな晒しでない事を確認して、5万円以下になるか交渉する。
女子店員は、可愛い目をぱちくりさせて「新製品ですから、そこまでは一寸。」、と言い淀んでいる。
そこでコジマでの一件を話し、あちらでは4万5千円までにすると言っていた事を話す。
嘘も方便、これも交渉術の一つです。
「お客様、暫くお待ちいただけますか。」
女子店員は店長の元に行って戻って来た。
「4万7千円のプラス処分費千五十円、合せまして4万8千五十円では如何でしょう。」、かなりの割引値段である。
可愛い子の応対なので衝動買いと思われてはと、その場では決めず金主元を連れて又来る事にして、その子の名刺を貰って帰って来る。

その日、昼食を摂ってから妻と出掛ける。
これまでの機械を取り外し、水抜きをして持参する。
「同じね。」値札が二枚ほど張り替えられていたので見ると、元値が6万8千円で次が5万8千円となっている。
現在が5万3千円であるから、出はじめに購入した人はかなりの価格で購入した事になる。
件の店員が来たので購入する事を告げ、古い機械を引き取って貰う事にする。
何と言う事か。
トランクを開けて前の食洗機を外に出そうとしたら、ホースが外れてそこから水が出て来た。
駐車場の路面にたらたらと、こぼれ落ちたのである。
それはまるで、まだ使い方によっては使えるのに、間違った使われた方をされためにスクラップとされてしまう悲しみの涙に見えた。

妻は、「ああこれで安心だわね。」と、嬉々として車に乗り込んだが、小生としては、あの排水ホースの水溜りが、長い間我が家の一員として働いていた食洗機の惜別の涙の様に思えてならなかった。

この年でセンチメンタルジャニでもないだろうに。










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