2011年6月30日木曜日

高齢者講習は我を知る機会でもある

75歳を迎え運転免許証の更新に際し、6ヶ月前の高齢者講習を受けなければならない。
今年の10月4日が更新期限のため、6月29日に予約したT講習会場で受講した。
この日は入梅の中休みにしては猛暑日であった。
6,000円の受講料を払い込み、開講時間の来るのを待つ。

正式には高齢者予備講習と高齢者講習とに分けられるが、ここでは纏めて高齢者講習と呼ぶ事にする。詳細は末尾に図解を貼り付けて置いたので参考にしてください。

集まっているのは同年代の男性4人、女性1人の5人と思われたが、講座が始まって10分位してもう一人男性が参加したので6人となった。
前日に「1時10分前までにお出掛け下さい」と、連絡が有ったにも拘らず遅刻して来たため、試験官の印象は悪く最後まで気の毒な状態が続いていた。

最初に予備検査として2通の申請書を自書させる事から始まり、受講年月日、生年月日、本籍地、現住所地、名前、振り仮名などを書かされる。
次に、設問用紙が手渡され、先ず今何時かを問われる。
意表を衝かれるが、始まりが1時で遅れてきた人が10分過ぎだからそれから15分程度の経過と考え、午後1時30分として置いた。

次は、試験官が読み上げる50音を逆さに記入する設問である。
「さ、し、す、せ、そ」なら、「そ、せ、す、し、さ」と、記入すれば良い訳で有るが、何を聞き違えたのか、「そ」だけ書いて次の読み上げを待ってしまった。
次の読み上げでこのトチリに気付き、書き足して事なきを得た。

記憶力が試されるのが出てきた。
画面に4枚の絵が交互に4回映し出され、計16の動植物と物品を視認してから声に出して読み上げ、それから思い出させるという記憶力の設問である。
順不同に書き出させるのは16問中13問しか出来無かった。
その後ヒントが出て答えるのは15問思い出す事が出来たが、「果物」の「ぶどう」は全く記憶の外に飛んでしまった。

最後は時計を描かせ、時刻を記入するものである。
丸を描き、中心点を入れ、時刻文字を1から12まで配し、それに試験官の指定する時刻を短針と長針で表示させると言うものである。
余りに単純なので何か引っ掛けが有るのではと、勘ぐる様な設問であるが、認知症の人はこれが描けないのだそうである。

6人は3人づつ2班に分かれ、実地指導と適性検査を交互に受ける事になった。
我々は実地指導に廻される事になったが、運転するのが普通車である。
小生はここ2年ほど軽自動車を使っているので、車幅とハンドル感覚が微妙に違うのが気になる。
しかし、同乗して他の2人のを参考に出来たのが幸いし、一時不停止や車庫入れ、S字とクランク走行の失敗をしないで済んだ。
件の遅刻男性は、シートベルトの着装、座席のスライドに手間取り試験官にあれこれ言われてスタート。
S字カーブでの脱輪、車庫入れでのバックのし過ぎ等々散々である。
「〇〇さん!、バックはどうにするんだい。」試験官。
「バックギャーに入れ、後に気を付けて入れます。」87歳の遅刻男性。
「そうにしてやった?」試験官
「はい」男性。
「していないよう。全然後を見ないでバックしたからぶつかったんじゃないですか。」言葉は丁寧だが、棘のある注意。
「ああそうかね」暖簾に腕押しとはこの事かと、思われる受け方である。
「じゃ次は、ここを出て向うのS字に行って」
大通りを一旦出るのであるから、停止標識が有る無いに拘わらず、ここは停止をして左右確認をしてから向かいのS字に入るべきだが、「行って」の声に停止もせずにS字に入ってしまった。

要は普段通りの安全運転をすれば良いわけで有るが、この運転が公道を走行しているかと思うと危険を感じざるを得無い実地走行である。

二人目も同じ様でシートベルトの位置が分らず、うしろから此方が手助けをしてやる。
「△△さん、ギャーは入替えながら走行してよ。」試験官。
言われてみるとセコンドと半クラッチ状態で走行している様だ。
「耕運機の運転しかしていないからね、つい癖が出てしまうんですよ」
踏み切りは停止せず横切って行くし、農道での運転そのままである。
「事故たら大変だよ。」試験官。
「見通しのよい所を運転してっから」
「そういう問題じゃないんだよ」試験官。
こうして2人目が終わり、小生の番である。

シートベルトをして、座席を若干移動させ、フットブレーキを踏みながらサイドブレーキを外し、左右確認しながら徐々にアクセルを踏み込んで停車位置からスタート。
何と模範的な出だしであろうか。我ながら惚れ惚れする出だしであるが、ハンドルが重い。
普段の軽自動車に比べ、何と重い事か。
クランクやS字走行、車庫入れでは切り替えしが間に合わず、車体を前後しなければならなかった。ここは不本意な出来である。
しかしながら、他の二人が何の疑念を持たず直進していた走行車線上の障害物では、それを避けるために対向車線をはみ出るウインカーを出した事はGOODで有ったと、自画自讃。

こんな事で半日が過ぎ、会場から開放されたのは4時半過ぎであった。
高齢者が増加し、こうした適性検査を受ける者が年々増えるのであるから会社としては商売益々繁盛であるが、午前・午後とこれに付き合う試験官は大変な根気が必要である。
中でもおばちゃん連が煩いそうで、何か言えば倍返しで言ってくるそうである。

そう言えば、身近でも同じ現象が起きている。
あれは持ったか、道順は忘れていないか、暑いから安全運転で行ってよ等々、今日のこの高齢者講習に出掛けるに当り、言われ通しであった事を思い出した。


高齢者の免許更新の流れ

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