2013年7月31日水曜日

狙われる高齢者~病院の一場面にて~

2か月に一度、M病院に出掛ける。
この2か月間の血圧測定記録を持参して血圧の薬を調剤して貰うためで、待ち2時間「変わりが無いようですね。前と同じ薬を出しておきましょう」の診察2分で終わる。
だから暇潰しは、待合室で待っている人達を観察しながら、周囲の人となりを見て時間を過ごす。
待合室では大方の人が無口である。
夫婦、親子連れでも小声で話している。
どこか体に変調を来たして来院しているのだから、自分の番が来るまで心配しながらを辛抱強く待っているのである。

しかしこの日は、後ろの椅子に座っている2人はそうではない。
話の様子から全くの他人で、たまたま隣に座り合わせたのが縁で会話が始まったらしい。
親子ほどの歳の差の女性である。
渋茶色の顔をした年寄りの方が自慢話をしている。
旅行に行ってきた話とか、息子が金を出してくれたとか、孫が名門高校に通って居るだとか。
幅広の顔にぺちゃ鼻たれ目大口の中年女性が相手になって、実に旨く相槌を打ちながら次から次へと話を引き出す。
だから年寄りの方は誘導されて、何の警戒も無く見ず知らずの女性に家庭の内情までしゃべっている。
その内、遊びに来るよう誘われているから不思議である。
順番が来れば本名で呼ばれるから、名前まで分かってしまう。

こんな情景を前にも見た事が有る。
やはり中年女性と高齢女性であった。
中年女性の話し方が実にソフトで、親切そのものの話し方で「どちらからですか?」年寄りは何の疑いも抱かず住所を教える。
「遠いですね。」
「何処が悪いのですか?」
「まあ大変ですね」
「こちらの病院はいつも来ているの?」
「毎月では大変ですね」
「私も同じだったの」
「ご家族は?」
「お一人ではお寂しいですね」
「お子さんはお幾つになります?」
「結婚されて、遠くにお住まいですね」
「お孫さんは居られるんですか」
「度々遊びに来てくれるんですか?」

こんな話に年寄りは、何の躊躇いもなく答えている。
何の必要があって、たまたま隣り合わせただけの他人に答えているのか。
健康サプリメントの売りつけか、宗教への勧誘か、個人情報の収集か、と疑いたくなる。
電話でのおれおれ詐欺、被害者は高齢者女性が多い。
それも資産家が狙われている。
こうした所での情報を収集して狙いを定め、電話を掛けて来るのではと、疑いたくなる場面である。

パソコンやスマートホーンなどでも個人情報の入力が求められるが、知らず知らずに流出させているのが自分自身である。
昔の諺に「人を見たら泥棒と思え」は、今の社会でも当てはまるのではないか、と感じさせる光景であった。
インターネットの向こうには誰が居るか分らない。
「インターネットの世界は魑魅魍魎の世界と知れ」パソコンをいじる者の戒めである。



3 件のコメント:

  1. 確かに先生のおっしゃられる通りです。インターネットの世界は怖いものがあります。肝に銘じてパソコンと付き合っていこうと思います。

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  2. 昔、興味本位でアダルトサイトに入った事が有りました。
    それもほんの入り口までで、個人情報の入力を求められたので引き返そうとしたのですが、そのサイトが終了しないのです。
    止む無く強制終了をしたのですがそれからが大変で、起動するたびにそのサイトの画面が表示されるようになってしまいました。
    インターネットで対処法を調べ、レジストリーの書き込まれたアドレスを削除して解決した事が有ります。
    怖い世界です。

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    1. 私も以前、同様の経験がありました。本当に怖い世界ですね。

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