2011年6月17日金曜日

カルガモの兄弟愛

朝夕の犬の散歩コースで、時たまF自動車工場の敷地を横切る。
数年前までは生産された新車で一杯となっていたが、今は従業員の駐車場として一部が利用されているに過ぎない。
だから一寸とした広場であり、珊瑚樹や椎木などが植林されて夏などは結構な木陰となり、犬の散歩にはよく利用されている。
その一角に工場排水の一時貯水槽が有り、2メートル高のフェンスで囲われている場所がある。
そこに毎年カルガモの親子が住み着き、緑色した排水の中を泳ぎ回って居る姿を目撃されていた。
今年も月端頃からか、親鴨と6羽の子鴨が泳ぎ回って居る睦まじい様子を見せていた。
水槽はコンクリート製で天場と水面との差が50センチほど有り、どの様にして中に入って行ったのか、何処で孵化して来たのか不明な事が多いのだが、何れにしても親鳥の後を6羽の子鴨がかわいい鳴き声をさせて泳ぎ回って居た。

4.5日雨が降っていたので犬の散歩も手抜きコースでしていたが、久し振りに回復したので工場の方まで足を伸ばし、鴨親子の様子見に出かけた。
子鴨だけ6羽が水槽の縁を廻っているだけで、親鴨の姿がそこには無かった。
餌でも摂りに留守にしているのか、と思いながら暫らく眺めていたが一向に戻ってこない。
人間が居るので警戒して近寄らないのかと考え、そこを離れる事にした。
翌夕、写真にでも納めて見ようかと再び出掛け水槽を見たら、なんと2羽しか泳ぎ回っておらず、4羽は死んでいるではないか。
親鴨は依然として留守である。

猫や、鼬などが寄り付ける所でもなく、親鴨は一体何処へ飛び去っていてしまったのか。
なぜ子鴨を見放してしまったのか謎が深まるが、餌が無い事ははっきりしているので急ぎ戻り、パンの切れ端を持って水槽の金網越しに投げ入れてやる事にした。
生き残っている子鴨1羽は、餌を求めて水槽の中を周遊しながら水の中に首を差し込んでは廻り、また、餌を求めていたが、パンの切れ端に気付くと此れ幸いと啄ばみ、一口、二口、三口と嘴でパン切れを食い千切り始めた。

暫らくして何を思ったのか、生きてはいるが元気が無く、死んだ4羽に寄り添うようにしていた1羽のところに近寄って行き、その子鴨の後に回りパン切れの方へ押してやっているではないか。
その様子は「あそこに餌があるよ」と、教えている様に見える。
しかし中々巧く行かず、そうこうしていると死んでいる子鴨にも同じ行動をしているのだ。
「おい起きて、餌があるよ」とでも言っているかのような行動を繰り返して居る。
写真はその情景スナップであるが、何処まで分って貰えるか遠景の上に、金網越しのシャッターのためはっきりしないが、それまで餌探しに周回していた子鴨がパンを啄ばんだ後で、元気の無い兄弟の後に回り、後押しをしてパン切れの方へ誘導しようとしている行動である。後が元気な子鴨である。
こんな鳥でも、餌を共有するのか、助け合うのかと、思わせる場面であった。

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