草むしりに疲れた身体を横たえて居たら、突然創作意欲が湧いて来た。
川柳5句を紹介したい。
「ひと月が ふた月になる 振り込み日」
生活保護費でさえ毎月支給されているのに、年金は2か月毎である。
現役の時は毎月の支払いであった。
それでも20日直前はやりくりが大変であった。
年金者となってからは余程計画的に生活しないと、2カ月目の月半ばで行き詰まる事がある。
ローンも貸してくれないから、飲まず食わずの半月を過ごす事にもなりかねない。
そうかと言って、この無芸な老兵を雇う所は無く、アルミ缶集めも縄張りがあるらしく勝手に集められない。
これも厳しい業界?らしい。
「年金の 出た日は豪華 回り寿司」
板前の前に座って握り寿司などを食せない今日この頃、せめて贅沢な昼食をと選ぶのが回転寿司で有る。
回転すしを選ぶのは、そればかりの理由ではない。
名前が分からない事、回転すしは写真が有るのでそれによって注文が出来る。
時間が掛らない事、好きな時間に行けて勝手に皿を取り、次々と食べる事が出来る。
マイペースである事、目の前に寿司を握っている板前がいれば、何かしら話題を探さなければならない。
そんな神経を使わなくても良いのが回転すしを選ぶ理由である。
金欠がホントの理由かな。
「値切るのが 口癖となる 年金者」
給料生活の時は、ボーナスを当てにした臨時支出が出来た。
今では入って来る額が決まっており、ボーナスの様な中間支給が無いから何を買うのにも値切る癖が出る。
流石に行き付けの魚屋とかではしないし、スーパーなどでもレジの前で値切る訳には行かないからしていない。
本も定価通りに購入している。
病院でも値切り交渉はしていない。
そう言えば病院で1度だけした事がある。
予防注射をお願いした時だったが、70歳以上は1000円と思い込んで居たので、2000円と言われたから「あれ?1000円じゃないのかい。」と言ったら、「何方も2000円です。」と言われた事がある。此れは値切りとは言わないか。
先日、年金者同士の一泊旅行をした時、カラオケ料金が此れまで5000円だったのが、10000円となっていたので、前回の料金精算書を見せて5000円にして宴会を楽しんで来た。
「恥無くし 我慢も無くす 老老爺」
唯我独尊人生、厚顔無恥な人生、迷惑を顧みない人生等々の誹りを免れない人生の毎日である。
仏の最も近くに来ているが、やって居る事はかなり道を外れているのかもしれない。
最近の傾向として、暴力老人が増えているとの事である。
一寸した言葉の行き違いで暴言を吐き、相手を罵ったり、挙句には暴力を振るうと言う。
病院の窓口や、スーパーのレジなどが多いと聞く。
長らく待たされていたり、目の前がぐずぐずしていると切れてしまうらしい。
温厚篤実、好々爺は昔し話である。
一度税務署の受付で目にした事がある。
その日は、申告期限間近で長蛇の列であった。
ようやく順番が目の前まで来た時に、直前で受付をしていた身なりのキチンとした初老の男性が突然声を荒げて受付にかみついた。
話の様子から、医療費控除申請を受ける為に医療費の領収書を病院別、支払い年月順に整理をし、束に纏めて添付して来たが、受付の担当者は「はい、ご苦労さまでした。」の一言で受付、中身を確認もせずにそれぞれの箱に投げ入れたのが気に入らなかったらしいのだ。
散々苦労して纏め、申告書に記入し検算をして間違いの無い事を確かめて申告に来て、長時間待たされた挙句が簡単に「はい、ご苦労さまでした。」の一言で処理された、その態度が許せない。
その男性の気持ちも分らなくは無いが、分別有ると思われる歳の人間が他の迷惑顧みず窓口でごたごたと事を起こし、その為待たされるこっちの身にもなれ、と言いたい、とその時思った。
「旅立ちは 地味に質素に ひっそりと」
ずいぶん勝手な願いであるが、これだけは自分で取り仕切れないから後事を託す者の裁量に任せるしかない。
現役の威勢に反比例するのが、葬式の参列者数である。
俺が育ててやった、面倒を見ってやった、あそこまでなったのは俺のお陰だ、などと人前で豪語していた人の葬儀に参列した事があったが、寂しいものであった。
歳を重ねても前向きに生きる事は素晴らしいが、引き際を忘れた人は見苦しい。所謂出処進退を忘却している人が如何に多いか。
求められる事もあるが、黒子として影になって出来る事をして居る人は素晴らしい。
老い方上手、引き方上手、土に還れば皆同じ。
パソ爺などは我が女房殿に、「目立ち足りがり屋で、退き時を知らないんだから」と、面と向かって言われると正直めげる。随分控えめに行動して居る積りなのだが・・・・・。
しかし、自分の分は承知して居るし、傍迷惑と言われない内が花と、今が老骨に鞭打つ日々である。